播磨国風土記の旅−太子町太田−
太子町太田、上太田、王子 its-mo吉備神社
城山と北山の風景 南太田の交差点から
交通
吉備神社→20分→新幹線を越えて国道2号線交差点
大津茂川沿いに北上、太子町太田に至る。
『播磨国風土記』大田里の条
播磨の大田という地名由来は、昔、呉勝(くれのまさる)が韓国から渡ってきて、はじめに紀伊国名草郡の大田村に至った。その後、一部が摂津国三嶋の賀美郡に移り、さらに揖保郡大田村に移った。
紀伊国名草郡の大田村とは日前国縣神宮の鎮座する付近で、和歌山の農耕地帯として比較的早い時期から開発された所で、大田黒田遺跡は長期に渡り栄えているようです。
摂津国三嶋の賀美郡は大阪府茨木市の北部に太田の地名があり、太田神社も鎮座。ここから真西に行くと播磨国揖保郡の大田となります。
『朝日の直刺す国、夕日の日照る国』(池田潤著)によれば、この東西のライン上に東から、山城の水主坐天照御魂神社、摂津の新屋坐天照御魂神社、揖保の粒坐天照神社が鎮座、天照の意味があると言う日前を持つ
日前国縣神宮の神格をも示しているのかも知れない。
さて、太子町太田には一体何の痕跡があるのだろうか。
国道2号線交差点→15分→黒岡神社
県道420号から東の山裾に登っていく。
黒岡神社
兵庫県揖保郡太子町太田917
黒岡神社の神門 100m程向こうに見えていた。
祭神 應神天皇 配祀 藤原貞國、菅原道眞
由緒 應神天皇についての由緒
神功皇后が三韓を征伐せられまして、御還行の御時KAGO坂忍熊の二皇子が、東國の兵をくりだし、皇軍を拒かんとて、淡路の海峽を扼して、待たしめられました皇后は当國萩原の浦(今の揖保村内)に御上陸せられまして、此岡に登られ、兵を集めて評議せられました、其縁で八幡宮を祭祀して居ります此岡を黒岡と云ひます。
昔は、評議することを「ことあげ」と申します。黒岡と云ふのは「ことあげ」の訛であると播磨風土記に見へてあります。
黒岡神社の拝殿
由緒 藤原貞國についての由緒
今より千百年あまりまへ、天平寶字八甲辰年(764)新羅の軍艦二万餘艘当國まで責め入り、家島の高島に陣取りまして、朝家は大騒ぎをいたしました其時に藤原貞國と云ふ人、鐵の楯を射通す大弓力のある名人でありましたので、朝庭より的の姓をもらひ、将軍の宣下がありまして、近國の官兵をつれて、異族を防戦することになって、貞國主が第一陣で福井の庄(今の旭陽村の内)から進發せられました。此時貞國主は、天津神を黒岡山に勧請せられまして速に異賊退治を祈誓せられましたら、俄に大風が起って、異鑑七百三十二艘ひっくりかやり悉く退治しました。貞國主は、異賊大将の頚をぶちきって、朝廷に奉られました其のてがらで貞國主に、播磨西五郡(揖保郡・飾磨郡・赤穂郡・佐用郡・宍粟郡)を恩賜せられました。貞國主は黒岡山に居城せられ、終に此地でかくれられました。土人武威を崇敬して神に齋祀して居ります。これ黒岡明神さんです(日本書紀に細しふあります)古墳は境内巽の方に藤原山と称してあります。
黒岡神社の境内 正面は藤原貞國の古墳とされている。

『播磨鑑』掲載の藤原貞國の詠歌
此山の神もいく世の功あり長くもいのれ武士の家
黒岡神社の古墳は直径15m、高さ5.3m、横穴式石室、内部には組合せ式石棺がおさめられている。高砂の竜山石系の石。
黒岡神社の本殿と右近の橘
由緒 菅原道眞についての由緒
筑紫へ左遷せられますとき、風波の御さわりで当國飾磨郡廣畑の郷、高濱の汀に御船を繋がれまして、四、五日御滞留されました時、黒岡八幡宮へ参詣せられ櫻井家に御一泊なされて、御染筆の和歌を賜ひました(はぎ山の御歌二首です)。櫻井氏は御別を悲しみまして、御紀念を願いましたら、御許容せられまして、御自作の木像を賜ひましたので、御祀り申したのです。霊験の灼然たるので、懇望によって、嘉吉三年九月八日飾磨郡英賀保村へ御分霊も致して居ります。
祭日 10月 第2土曜日 2日間 秋季例祭
黒岡神社→15分→若王子神社
若王子神社
兵庫県揖保郡太子町上太田47
若王子神社二の鳥居
祭神 仁徳天皇
由緒 京都の吉田神道の影響下にあったようだ。
また後白河法王が京都東山から熊野権現を勧請したのが若王子神社であり、それを当地に勧請したものとされる。
祭日 10月 9日 秋祭
若王子神社の社殿と二の鳥居の手前の巨岩
若王子神社→15分→王子神社
王子神社
兵庫県揖保郡太子町王子118-1
王子神社の鳥居
祭神 彦寤眞命
由緒 不明。2号線のバイパスの王子トンネルの馬山の中腹に鎮座、馬山は標高174m。
祭日 10月 14日 秋季例祭
王子神社の社殿
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