福島県双葉郡浪江町大字請戸字東迎38
五十猛三兄妹神は明治末期に合祀されたようである。さて、その神社名は今のところ判らない。
土地の人々は、安波様、大杉様と呼んでいるようだ。これは享保年間の江戸での流行神の大杉明神のことで、茨城県稲敷郡桜川村に鎮座する名社の神で、これが東京都葛飾区の香取神社に突如として飛来、爆発的に信仰を集めたと云う。
『東奥標葉記』によると幾つかの創建譚が語られている。 新羅国請戸小島に出現した神 『奥相志』には「請戸の神は天竺、また曰わく震旦国王の后で、夫婦間に溝があり、后を空舟に乗せ海に流した。漂流後請戸沖に流れ着いた。この女神が貴船明神と仰ぐべしとの神託を発した。 『浮渡大明神縁起』岩楠船一隻が岸に着いた。船の中に神女九柱がいた。神女は「我々は東国に留まる。信心のある者が祀れば、国家安全、武運長久、万民子孫繁栄、横死遭難を除く云々」と託宣を行ったので、養老元年(717)に請戸の小島に祀った。その後島が沈没、現在地に遷座したのが当社と云う。浮渡大明神であり、これが請戸と通音である。 海岸の神社ゆえの「漂着信仰」の流れの伝説のようである。 お姿 浪江町は至る所に鎮守の森のように見える森が点在している。よき日本の姿が残っている。
請戸川の上流は阿武隈高地であり、河口の湊には南部鉄が運ばれてきて、これを木炭の多い阿武隈山地に持っていった拠点とされた湊。 お祭り 8月 6日、7日 例祭(大漁祈願祭) 参考 『式内社調査報告』、『双葉町のくさ野神社』 五十猛命ホームページ 神奈備にようこそ |